【前編】ネイルは命を削って挑むエンターテイメント。お客さまを魅了するオンリーワンのサロンはどのように作られるのか
ネイリーで活躍する人気ネイリストの声をお届けするインタビュー。
今回は独自の世界観でお客さまを虜にする「Pink rose Window」のオーナー・KAIさんにお話を伺いました。リピーターが通い続けるサロンであるために心がけていること、そしてモチベーションを高く保ち続ける秘訣を教えていただきました。
やりたいことがたくさんあった学生時代。ネイルは独学で身につけた
ーKAIさんがネイリストを目指したきっかけになったのは、ある大物アーティストの影響と聞きました。
そうです。彼女に衝撃を受けて「これがやりたい!」と思って。その当時は長さ出しやスカルプの全盛期で、ネイルはまだチップで作っていた時代ですね。結構古い時代からネイルに憧れていたんです。
ーネイルはどのような経緯で始めたのですか?
高校では絵画科で油絵を専攻していましたが、途中で「僕はやっぱりビューティーが好きかも」と思って、美容の専門学校に行こうとしたんです。そしたら周りにめっちゃ反対されたので独学でスタートしました。
ーその後はどうされたのですか?
アシスタントになるつもりでいたんですが、直前で白紙になってしまって、
それでも一応メイクもネイルの勉強もしてきたから自称ヘアメイク・ネイリストとしてSNSを使って仕事を始めました。
そこで始めたのが自宅サロンですね。お客さまが来ても不快に思わないようにかわいく飾りつけをして、生活感があるものを隠して。
自分でお客さまを駅まで迎えにいってお家に着いたらネイルして、また駅まで送って行ってみたいな。
ーすごいサービス精神ですね。
男のちっちゃいアパート暮らしなので、どう考えても不安だろうと。不安な思いをさせてはいけないと思って気は結構遣いました。
自分の世界観と流行りがマッチしたミラクルでサロンは大盛況。本格的にネイルの道へ
ー集客はどのようにされていたのでしょう?
その頃はちょうどSNSの全盛期だったので、集客は全てInstagramでした。その時代と自分の世界観や好きな趣味も相まって、お客さまはメチャクチャ来たんですよね。本当に、全て時代とマッチして・・・ミラクルが起きていたと思います。
ーでは、創業当時から広告宣伝も使わずに・・・
一切使ってないです。でも無断キャンセル、当日キャンセルが多いことに悩まされ、色んな工夫をしました。前日にリマインドの連絡を入れてみるとか、キャンセル料について予約メール文に入れてみるとか。あとは今まで載せてこなかった大人っぽいデザインもSNSに載せることで大人の層のお客さまも増え、どんどんお客さまも定着していきました。
ーネイリーはどのようなきっかけで始められたんですか?
某ネイル雑誌の当時の編集長と出会った時に紹介していただいたんです。
僕はすごいアナログな人間なんですが、ネイリーはそんな人にもすごく分かりやすいんですよ。それに、クレジット決済のための端末といった初期投資もいらない。ネイリーの中で決済できるし、お客さまも決済状況やポイントがたまっているのか一目瞭然で分かるので「なんて便利なシステムを紹介してくれたんだろう!」っていまだに感謝しています。
命を削ってお客さまに向き合うことが「KAIワールド」の中毒性を生み出す
ー価格は高めに設定されていますよね。それでもたくさんのお客さんが来るのはどうしてだろうって、他のネイリストさんも気になっているんじゃないかと思います。
理由はたくさんあるんです。一言でいうと・・・かなり大袈裟かもしれないのですが、命を削っています(笑)そのくらいの気合いと気迫でお客さまに向き合っています。
たとえばケアをものすごく丁寧にやっていて、爪周り以外でもカサカサしたところや硬くタコになっている部分があれば全部ケアの一環としてマシンでつるつるになるように削っています。
ーそれはすごいですね!
価格は高いけど一度来てもらえれば絶対に理由を分かってもらえる。僕は自信家なんです。高いから他の店に流れちゃうお客さまは多いですが、結構な確率で戻って来ます(笑)
ー戻られるお客さまは何とおっしゃっていますか?
「どうしてその値段なのかようやく分かりました」っておっしゃられますね。そんな時に一番「よし!」って思います。
お客さまに合わせてベースジェルもどんどん変えていくし、徹底的にケアしますし、あとは人生相談メインっていう人もいるのでとことん相談に乗って、お客さまが心もネイルもすっきりして帰れるようにお話に付き合います。
だから、僕も心がぐったり疲れることもたくさんあります。でもそれくらい気合いを入れて一人一人に向き合っているので、どうしてもその金額になっちゃうかなっていう(笑)
ーそれでも特に若い世代のファンが多い中で1万円以上するネイルってすごく高い印象ですね。
それが女の子ってすごくて。「アイドルのライブチケットや握手券のために10万円積んだ」とか。そういう中毒性ってどうやって生まれるんだろうって逆算して考えていくと、やっぱり「アーティストと私との特別感」だなって思って。それをネイリストとお客さまに置き換えて、業務に落とし込んで考えています。
ー好きな人や物にはとことんのめり込んじゃう感覚ですね。
そうですね。あとはネイリストのお客さまが来たらネイルをやりながら工程も説明してます。そうすると「セミナーも無料で聞けるからお得じゃん」って思ってもらえる。僕はお客さまの欲しいものをプレゼントするっていう気持ちでやっているので。
ーお客さまが何を欲しがっているかを見抜くのってなかなか難しそうですが・・・
10年もやっていると分かってくるというか。お客さまがお喋り好きなタイプだったらとことん聞くし、黙ってじーっとアート見てる子だったら、ものが作られるのを観察するのが好きなんだな、って思って見えやすいように施術してあげたり。
ーサロンを立ち上げて最初の頃からそのようにしてきたのですか?
割と最初からそうです。「一度気に入ってもらえたらずーっと通ってもらいたい!」っていうのを目指していたので。そのためにどうしたらお客さまにとって特別な体験、時間、デザインになるかってことだけに着目していました。
とにかく気合いです。実際の僕はだいぶ体育会系だと思います。全然可愛げがなくて申し訳ないんですけど(笑)
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いかがでしたか?
KAIさんのインタビューは【後編】へと続きます。後半はKAIさんならではの世界観あるデザインを生み出す秘訣に迫ります!